原語から見える聖書のイメージ

ヴェニスに死す雑感~モーリス・ドニを見ながら

塩野七生さんの「レパントの海戦」を読んだ後、
ヴェネチアが潜在意識にあったのかなかったのか分かりませんが、
偶然昔ながらの古書店でふと手に取った「ヴェニスに死す」を読んでみました
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短くてもとても有名ですが、初めて読んだんです
訳が格調高くてときにはついていけませんでしたが、
ドイツ語原文の構造をそのまま使用してるところなどの解説を読むと
なるほどと思いました

あのゴンドラの黒い形姿は、棺のようでたしかに死を連想させますよね

あの有名なヴィスコンティの映画も見ていないので
念のため調べてみたら、トーマス・マン自身がマーラーの死に触発されて
書いた作品が「ヴェニスに死す」だったんですね
アダージェットの愛のメロディが葬送に重なるわけですね

ワーグナーがヴェニスで亡くなったイメージが強くて、
ヴェニスというともうすでに「死」がゴンドラに象徴されてる
隔絶された都という特別な感じがします

同時代の絵画としてどういうわけかドニのイメージが浮かんだので
挿入しながら・・・
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キリストの墓を訪れる聖女たち
(Saintes femmes au tombeau) 1894年

この墓があの洞穴をくり抜いたイメージではないところがゴンドラ的で
気に入りました

ワーグナーに大きな影響を受けたマーラーの死を悼む場所として
ウィーンではなくヴェニスが浮かんだのはワーグナーへの連想もあったのかな・・?

そんなことを感じましたが
美少年タッジオをとおして観るアッシェンバッハのイメージは
ギリシャの古典的神話世界に満ちてますね

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アポロンと9人の詩神の神話的風景が、日常の世界のように描かれてるのが、小説のイメージと重なります

  ミューズたち(Les Muses) 1893年  








陽が上るシーンの描写もふくめて、
健康的なギリシャの肉体美の郷愁の風が吹いているようでした
アッシェンバッハが理容師さんに若作りしてもらうところなど、
貴族的な精神の持ち主の切ない本音がそのまま描かれていて
死に場所として意識的に選んだ美意識がいいなと思いました

それはそのまま
ヴェネチアという都市国家の栄光が世紀末の夕日に包まれて
過去に埋没してゆく姿に重なるのですが、塩野七生さんが描かれた
ヴェネチアは民主主義が素晴らしくてまさにギリシャ古典の世界だったのが
とても強く印象にありました

「ヴェネツィアは政教分離の立場から常に法王庁と一線を画してきた、長い歴史を持っている。そのうえ、信教の自由が存在する、当時ではほとんど唯一の西欧の国であった。
異端審問所のわなにかかった不幸な人々は、脱走に成功すれば誰でも、
ヴェネツィア領内に入ってはじめて心から安心できたのである。
・・・このヴェネツィアでは、ルターもマキャベッリも古代のエロスの詩も、
堂々と書店並んでいた。」 
レパントの海戦」110ページ

というわけで
そのあとで読む「ヴェニスに死す」だったので、悠久の時の流れをその背景として
連想したりしてました
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天国 (Le Paradis) 1912年

マーラーは1911に亡くなり
トーマス・マンは1912年にヴェニスに死すを書く・・
なにか憧れますね(笑)

閑話休題
昨日のダービーで「ワグネリアン」が優勝したそうですがなにかの縁?








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by yokohama-izumi-lc | 2018-05-28 04:53 | 読書・植物・他 | Trackback | Comments(0)
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